セラミッククラウンによる歯列改善治療

歯列不正の改善方法として、多くの方がまず思い浮かべるのは従来の矯正治療でしょう。ワイヤーとブラケットを使用した”ワイヤー矯正”が代表的な手法として知られています。しかし、一般的な歯列矯正には数年間という長期の治療期間が必要で、頻繁な通院、装置の審美的問題、食事の制約など、患者様にとって負担となる要素が多数存在します。このような従来法の課題を解決する代替手段として注目されているのがセラミック矯正です。この治療法により、従来の歯列矯正が抱える多くの問題点を克服することが可能になります。

セラミック矯正の基本的な特徴

セラミック

セラミック矯正という治療名は耳にしたことがあっても、実際の治療内容について詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。ここでは、セラミック矯正の基本的な特徴と、その利点・欠点について詳しくご説明いたします。

 

セラミック矯正の基本概念について

ジルコニア

セラミック矯正は、セラミッククラウンを活用して歯列の見た目を美しく整える治療手法です。従来の矯正器具を装着して歯を物理的に移動させる方法とは根本的に異なるアプローチであることをご理解ください。実際の臨床現場では、矯正歯科ではなく当院のような審美歯科で主に実施されている治療法です。そのため、審美歯科治療の一分野として捉えていただくと理解しやすいでしょう。

セラミッククラウンの詳細説明

セラミック

セラミッククラウンは、セラミック素材で作製された被せ物の総称です。虫歯治療後の白い歯の修復に頻繁に使用され、多様な審美治療において重要な役割を果たしています。セラミック矯正においては、複数のセラミッククラウンを装着することで、歯列全体の美的調和を実現する治療法と言えます。セラミック素材は天然歯に近い白さと美しい透明感を持ち、変色のリスクがない優秀な材料です。プラスチック系材料とは異なり、優れた耐熱性と高い硬度、そして長期間の耐久性を兼ね備えています。

 

セラミック矯正の利点と欠点

ジルコニア

セラミック矯正には、下記に示すような利点と欠点の両面が存在します

セラミック矯正の主な利点

オールセラミック

治療期間の大幅な短縮が可能
セラミック矯正における最大の魅力は、治療期間の短さにあります。通院回数も大幅に削減できます。従来の矯正治療では2~3年という長期間が必要ですが、セラミック矯正では歯の移動処置を行わないため、2~3ヵ月程度で美しい歯列を実現できます。部分的な治療の場合は、1~2ヵ月程度で完了することも珍しくありません。

矯正器具の装着が不要
私たちの口腔内は、外部からの異物に対して非常に敏感に反応します。小さな砂粒一つでも気になってしまうほどです。大型の矯正装置となれば、その不快感は相当なものになるでしょう。それが数年間続くとなれば、従来の矯正治療に躊躇する方が多いのも理解できます。
セラミック矯正では、ワイヤーやブラケットなどの装置を一切装着する必要がありません。最終的なセラミッククラウンが完成するまでの期間も、見た目に配慮した仮歯を使用できるため、不快な症状が少ないだけでなく、審美面での心配も解消されます。
歯の色調・形状・サイズの同時改善
セラミック矯正では、歯列の美しさだけでなく、歯の色や形、大きさなども一度に改善することが可能です。これは従来の矯正法では実現不可能な特長と言えます。歯の色調や形状、サイズを自在に調整できるセラミッククラウンならではの大きな特徴です。

治療完了後の後戻り現象がない
ワイヤー矯正やマウスピース型矯正などで移動させた歯は、元の位置に戻ろうとする”
後戻り”という現象が起こります。2~3年かけて移動させた歯をそのまま放置すると、時間の経過とともに元の位置へ戻ってしまうのです。この現象を防ぐために実施されるのが「保定処置」です。一般的な症例では、保定処置にも2~3年程度の期間が必要になります。
セラミック矯正では歯の移動を行わないため、治療後の後戻り現象が発生しません。同時に、保定処置も不要となるため、2~3ヵ月で完了した美しい歯列を、その後は定期検診程度で維持することができます。

虫歯・歯周病発症リスクの軽減
セラミック矯正は、従来のワイヤー矯正と比較して、2つの観点から虫歯・歯周病のリスクを軽減できます。1つ目は、矯正装置を装着しないため、治療期間中の口腔清掃を良好に保てることです。2つ目は、治療後の清掃性に関して、セラミック歯は天然歯よりも汚れが付きにくく、細菌の繁殖源となる歯垢や歯石の蓄積も抑制されることです。その結果、治療中・治療後ともに虫歯や歯周病のリスクを低減することができるのです。

セラミック矯正の主な欠点

ジルコニア

セラミック矯正には、下記のような欠点も存在します。

健康な歯質の削除が必要
セラミック矯正は、セラミッククラウンを使用した補綴治療とほぼ同様の手法です。既存の歯を適切な形状に削り、セラミック製の被せ物を装着するためです。これは被せ物を装着するすべての治療に共通する処置ですね。健康な歯質を削除することになるため、この点に強い抵抗感を持つ方は少なくありません。

症例により神経治療が必要な場合がある
セラミッククラウンを装着する際に必要な歯の削除量は、症例によって変わります。比較的多く削除する必要がある症例では歯髄が露出するため、神経を除去する処置が必要になります。歯髄処置を行った後も適切な管理を継続すれば、長期間健康な状態を維持することは可能ですが、生活歯と比べると寿命が短くなる傾向があることは否定できません。

歯列不正の根本的解決にはならない
セラミック矯正は、あくまでも被せ物による治療手法です。歯の色調や形状、サイズ、歯列を美しく見せることは可能ですが、歯列不正の根本的な原因を除去するものではありません。

歯質削除や神経処置を避けるセラミック矯正

ハイブリッドセラミックインレー

前述したセラミック矯正の利点、欠点は”セラミッククラウン”を前提としたものです。実際には”ラミネートベニア”という治療手法を選択すれば、歯の削除や神経処置を行うことなく、歯列を美しく見せることが実現できます。

   

ラミネートベニア治療について

ラミネートベニアは、セラミック製の薄いチップを歯の表面に接着する治療手法です。歯の表面を0.5mm程度削除するだけなので、歯質へのダメージも最小限に抑えられます。エナメル質には、痛みを感じる神経が存在しておらず、歯髄を除去するリスクはほぼゼロで、施術時の痛みもありません。

ラミネートベニアで改善可能な歯列状態

ラミネートベニアは、主に前歯の色調や形状、サイズを調整する際に使用されます。特にすきっ歯の改善において、優れた効果を発揮します。軽度のすきっ歯であれば、ラミネートベニアで効率的かつ最短期間での改善が期待できます。

   

ワイヤー矯正で生じる問題点

色調を揃える

セラミック矯正は、急速に注目度が高まっている治療手法です。”健康な歯質の削除が必要””歯列不正を根本的に改善するものではない”という欠点があるにも関わらず、セラミック矯正を選択する患者様が増加している背景には、ワイヤー矯正にさまざまな問題が伴うことも関係しています。

矯正器具の見た目への抵抗感

型取り

ワイヤー矯正は、ブラケットと金属製ワイヤーを歯列に固定する治療手法で、この状態が2~3年の治療期間中継続します。審美ブラケットやホワイトワイヤーなどを使用しても、やはり装置の存在が目立ってしまうため、恥ずかしさを感じる患者様は多くいらっしゃいます。

 

治療に伴う痛みと違和感

ジルコニア

ワイヤー矯正は、比較的強い力を加えて歯を移動させます。顎骨に埋まっている歯を人工的に移動させることが矯正治療の本質であり、相応の痛みが生じます。治療によっては抜歯が必要な場合もあり、それもまた痛みを伴う可能性があります。装置が歯肉や口腔粘膜、舌に接触することによる違和感や不快な症状も避けられません。

口腔疾患の発症リスク増加

メンテナンス

ワイヤー矯正中に、虫歯を発症する患者様は珍しくありません。ブラケット装置を装着した経験のある方ならご理解いただけますが、治療開始前と比べて、著しく歯磨きが困難になります。その結果、口腔内の衛生状態が悪化してしまうのです。

歯の位置の後戻り現象

女性悩む

歯を移動させる動的治療の完了後に何も対策を講じずに放置すると、歯は元の位置へ戻ってしまう可能性があります。保定処置を怠ることで、歯の後戻りが生じるケースも決して少なくありません。

セラミック矯正が適している患者様

歯

セラミック矯正は、歯列不正を改善したいという患者様に加え、下記のようなお悩みをお持ちの方にも適している治療法です。

・歯の形状、サイズを改善したい
・軽度の出っ歯、すきっ歯にお悩みの方
・歯が部分的に欠損している
・可能な限り早期に自然で美しい噛み合わせの前歯にしたい
・銀歯を白い歯に交換したい
・金属アレルギーが心配で銀歯を交換したい
・自分の歯に自信がなく笑うと口元を隠してしまう
・自身の顔の写真映りを気にして口を閉じてしまう
・歯列改善に相当な時間がかかると他院で言われた

セラミック矯正の治療手順

ブラッシング

セラミック矯正治療は、下記の手順で進行いたします。

1.カウンセリング
最初に、カウンセリングを受けていただきます。歯や歯列に関するお悩み、治療へのご要望、ご希望等を初診相談の際にお聞かせください。お口の中を拝見した上で、患者様に最適な治療法をご提案いたします。

2.診査・診断・歯の型取り
診断および治療計画の立案に必要な情報を各種検査によって収集いたします。治療方針が決定したら、費用面も含めてわかりやすい言葉で丁寧にご説明いたします。患者様にご同意いただいた時点で、治療を開始いたします。

3.事前処置(必要な場合のみ)
歯の形成や神経処置など、症例に応じた事前処置を実施いたします。

4.仮歯の作製・装着
仮歯を作製し、装着して日常生活でご使用いただきます。気になる点などをご指摘いただいた上で、調整を行います。このプロセスは、最終的な被せ物を作製する上で、非常に重要なものとなります。どんなに些細なことでも構いませんので、使用してみてのご不満な点などをお気軽にお伝えください。

5.本番の型取り
仮歯の状態にご満足いただけましたら、いよいよ本番用の型取りを行います。

6.セラミッククラウンの装着
本番用の型取りを行ってから、2週間程度の作製期間でセラミッククラウンが完成いたします。セラミック歯の装着後も定期的なメンテナンスの受診を推奨しております。

総括

セラミック

このように、セラミック矯正なら矯正器具を使用せず、短期間で歯列の見た目を大幅に改善することが実現できます。もちろん、利点だけでなく、欠点も存在するため、治療を検討される際には、マイナス面にもしっかりと目を向ける必要があります。さらに、一般的な歯列矯正と比較検討した上で、最適と言える治療を選択しましょう。一度ご来院いただき、それぞれの利点・欠点をご納得いただけるようにお伝えさせていただきます。

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